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[転載]青森、岩手両県警による強制捜査

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県境不法投棄事案アーカイブ本編  2.発覚前後の経緯

更新日:2014年7月17日 環境保全課

2 発覚前後の経緯

(1)三栄化学工業株式会社の事業開始及び事業の拡大

 三栄化学工業株式会社(本社、青森県八戸市)は、昭和55年5月、青森県に一般廃棄物最終処分場の設置を届け出て、廃棄物処理事業を開始しました。
 事業内容は、後の不法投棄現場(以下「現場」という。)に隣接する牧草地に、し尿脱水汚泥を埋め立て土壌還元処理するというもので、翌年には産業廃棄物最終処分場の設置を届け出て、下水脱水汚泥等を埋め立て、土壌還元する事業も開始しました。
 昭和61年には、同社の代表取締役が本件の土地を購入し、同社が肥料取締法に基づく特殊肥料生産業者届出書を青森県に提出し、受理されています。
 平成元年5月、田子町の住民から、同社に関して「ドラム缶を積んだトラックが出入りしている」「何のごみを運んでいるのか」との苦情があり、当時の三戸保健所が調査したところ、千葉市から生ごみなどの一般廃棄物が搬入されていることが判明しました。田子町は、千葉市に廃棄物の全量を回収するよう求めましたが、最終的には現場の一部に遮断型の最終処分場を設置し、現地処理しました。
 同社は平成3年1月には現場に堆肥化施設を設置し、汚泥に燃え殻と樹皮を混ぜて堆肥化する中間処理業の許可を受け、廃棄物を利用した堆肥化の事業を始めました。同社は、関連会社三栄興業株式会社に中間処分物を堆肥原料として売却し、三栄興業株式会社はそれを特殊肥料として販売すると説明していました。 
 同社は平成9年には、動植物性残さ、ばいじんについても中間処理(堆肥化)業の許可を得るなど、事業を拡大していきました。

(2)汚泥の不適正処理の発見
 平成6年8月、三戸保健所は立入調査により、岩手県側の土地に穴を掘って汚泥を埋めていることや、処理後の堆肥らしいものを野積みしていることを確認しました。
 このため、汚泥を撤去し適正に処理することや、汚泥は処分場以外で処分しないことなどを指導し、同年10月には堆肥化施設に汚泥を移し替え、適正に処理したことを確認しています。

(3)住民等からの苦情及び情報並びに不法投棄の発見
 平成7年3月、住民から「夜間に堆肥化施設に生ごみが搬入されている」との情報が寄せられ、三戸保健所は立入調査を実施し、現場を数カ所掘削しましたが、生ごみは発見できませんでした。
 同年9月、住民から「汚水が河川に漏れ出している」、「県外ナンバーのトラックが早朝、夜間に来ている」との情報を受け、三戸保健所が立入調査を行ったところ、岩手県側で2カ所の穴に燃えがらを不法投棄している現場を確認し、その後、社長も不法投棄を認めました。
 この不法投棄について、平成8年11月に青森県が事業の全部停止30日間、岩手県が事業の全部停止20日間の処分を行いました。
 これ以後も平成11年4月までに、住民や元従業員等から、「許可品目以外の廃棄物を搬入している」、「汚水が流れ出している」などの情報が10件ほどありましたが、不法投棄は確認できず、放流水や沢水の水質検査も行いましたが、特に異常は確認できませんでした。
 更に平成9年7月には4日間にわたって夜間監視(21時から翌朝3時まで)を実施し、11台のトラックが現場に入っていくのを確認したものの、深夜で人通りの全くない山中という状況の中、不法投棄の確認には至りませんでした。

(4)青森、岩手両県警による強制捜査
 平成10年、同社は青森県に、岩手県側にある関連会社の三栄興業株式会社は岩手県に、それぞれ特殊肥料生産を届け出、青森県農林部は同年9月に同社に対して、岩手県農政部は同年10月に三栄興業株式会社に対して、肥料取締法に基づき立入調査を実施しました。
 その結果、肥料というよりは廃棄物と判断され、各県の廃棄物担当課にその旨報告されました。
 岩手県環境生活部は、農政部からの報告を受け、岩手県警本部に情報を提供しました。
 両県は、平成11年4月に合同で立入調査を実施し、不適切な肥料製造ではなく不法投棄が行われているとの疑いを持っていましたが、不法投棄の事実を確認することはできませんでした。
 岩手県環境生活部及び二戸保健所によって、同年6月、7月にも岩手県警本部及び二戸警察署に情報提供が行われ、同年9月には岩手県警の内偵により、夜間に不法投棄が行われている事実が把握されました。
 同年11月、両県警の合同による強制捜査が実施され、平成12年5月に三栄化学工業株式会社及び縣南衛生株式会社の関係者が逮捕されました。

(5)公訴事実
 平成12年6月、三栄化学工業株式会社、縣南衛生株式会社、両法人の代表取締役は廃棄物処理法違反で起訴されました。両社代表取締役が共謀の上、縣南衛生株式会社が廃棄物業者から収集した廃プラスチック類等を原料にして製造したRDF様物(ごみ固形物)を現場に不法投棄したことを公訴事実としたものです。
  • 平成11年4月の現場の様子(中間処理施設)
    平成11年4月の現場の様子(中間処理施設)

  • 平成11年4月の現場の様子(事業場)
    平成11年4月の現場の様子(事業場)

転載元: 日向産廃スラグ不法投棄恫喝訴訟、住友Gr土壌底質汚染研究会


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