環境報告書:中国は大気、水資源、土壌の汚染問題に直面
2014年06月10日
中国水利水力発電科学研究院水資源所の王建華所長によると、中国では半分以上の水効能区の水質は基準に達していない。太湖、巣湖、滇池の水質は全体的に富栄養化の状態にあるという。
水質汚染のほか、中国は大気汚染と土壌汚染問題をも抱えている。環境保護部南京環境科学研究所の張毅敏研究員は「大気汚染が深刻だ。雨で湖に落ちた汚染物も水質の汚染を悪化させている」と指摘した。
多くの環境保護関係者によると、近年、中国は環境保全事業に巨額の資金を投入したが、汚染問題はまだ改善していない。「太湖の汚染整備用投資総額がすでに1000億元を超え、一定の効果を収めたが、これから手をつける難問を解決するのは更に難しくなる」と江蘇省太湖弁公室の張利民副主任が語った。
(続きは次ページ)
重金属による中国の食糧汚染、年間1200万トン 詳細を国家機密にして逆に広がる疑心暗鬼
中国の土地汚染がますます深刻化している。ある農業の専門家によると、毎年、1200万トンもの食糧が重金属によって汚染されているという。政府は今年4月に初めて「全国土壌汚染状況調査公報」を発表したが、その内容はかなり大雑把なもので、より詳細な内容は「国家機密」を理由に公開されていない。公開することによって、各地でパニックが起こるのを恐れているのだろうか。
「全国土壌汚染状況調査公報」は、2005年4月から13年末までの長期にわたって全国調査した結果をまとめたもので、調査面積は630万平方キロに及ぶ。それによると、汚染物質によって基準を超えている土壌は全国の16.1%に達している。軽微、軽度、中度、重度の4段階に分けると、それぞれ11.2%、2.3%、1.5%、1.1%となっている。
汚染物質ではカドミウム、水銀、鉛といった重金属が全体の82.8%を占めている。地域別には長江下流域や珠江デルタなど南方の汚染が際立っている。このほか工業廃棄物関連では、調査した81カ所のうち約35%が基準を超えていたなどのデータが載っている。
だが中国紙の経済参考報は、公表されたデータだけでは全体の傾向は把握できたとしても、個別の詳細な状況は未公表なので、被害の本当の深刻さが分からないと厳しく批判している。