東條英機首相の遺書
東京裁判が戦勝国の一方的な復讐裁判であったことは誰れしも認めることであるが、死を直前にした東條元首相が予言した共産党勢力の拡大は、60年後の中国(満州)の赤化、南北朝鮮の赤化というかたちで、次第に現実のものとなってきている。
また、あの時代に、東條元首相は戦勝国の米国に対し、無差別爆撃や原子爆弾投下を批判した。
いまの時代に拉致犯罪、核兵器開発の北朝鮮や、内政干渉の中国、韓国を厳しく批判できる政治家は居るだろうか。
(正論8月号 米田健三氏論文より)
東條元首相の的確な"予言"
東條は遺言を残している。
執行直前の昭和23年12月22日午後9時半から10時半、つまり処刑の一時間半まで、独房における最後の面会の際、あらかじめ書いてあったものを東條が読み、教誨師・花山信勝が大急ぎで筆記したものだ。
「A級戦犯」七名については、最後の監視が厳しく、遺書等ーを直接受け取れなかったためである。
遺言状本体については、講和条約が発効して日本が独立を回復した直後、花山に対し、米軍から「占領政策により、一切焼却した」との返答があった。
この遺言は、東京裁判や自己の戦争責任についての考え方、また、日本と将来の世界について思いを述べたもので、家族に宛てるような私的なものではなく、いわば公的なものと言えるだろう。
要点を抜粋してみる。
一、開戦当初の責任者として敗戦のあとをみると、実に断腸の思いがする。
今回の刑死は個人的には慰めらられているが、国内的責任は死をもって贖えるものではない。しかし、国際的裁判に対しては無罪を主張する。たまたま力の前に屈したものである。
国内的責任について、満足して刑死につく。
一、東亜の民族は、他民族と同様にこの天地に生きる権利を持っている。その有色であることを、神の恵みとし誇りとしている。
インドの判事(注 全員を無罪としたパル判事)には尊敬の念を感じている。これをもって東亜民族の誇りと感じた。
私は今回の戦争を通じて、東亜民族の生存に対する権利の主張を達したものと思っている。
一、米国に対し、今後人心を離れしめざることと、赤化せしめざることを頼む。極東の大勢はまさに赤化の中にある。
終戦三年にしてすでに然り。今後の変転を憂う(注 当時、中国共産党は国民党を駆逐し、中国全土を制圧しつつあった)。
米英側指導者は、今次大戦で大きな失敗を犯した。
第一は、日本という赤化の防壁を破棄し去ったことである。
第二は、満州を赤化の根拠地にしてしまったこと。
第三は、朝鮮を二分して東亜紛争の因たらしめたことである。
一、日本軍人の一部間違った行為については衷心謝罪する。
しかしながら、無差別爆撃や原子爆弾の投下による悲惨な結果については、米軍側においても大いに悔悟あるべきである。
一、最後に軍事問題について一言する。
我が国従来の統帥権独立の思想は間違っていた。あれでは陸海軍一本の行動はとれない。
東京裁判が戦勝国の一方的な復讐裁判であったことは誰れしも認めることであるが、死を直前にした東條元首相が予言した共産党勢力の拡大は、60年後の中国(満州)の赤化、南北朝鮮の赤化というかたちで、次第に現実のものとなってきている。
また、あの時代に、東條元首相は戦勝国の米国に対し、無差別爆撃や原子爆弾投下を批判した。
いまの時代に拉致犯罪、核兵器開発の北朝鮮や、内政干渉の中国、韓国を厳しく批判できる政治家は居るだろうか。
(正論8月号 米田健三氏論文より)
東條元首相の的確な"予言"
東條は遺言を残している。
執行直前の昭和23年12月22日午後9時半から10時半、つまり処刑の一時間半まで、独房における最後の面会の際、あらかじめ書いてあったものを東條が読み、教誨師・花山信勝が大急ぎで筆記したものだ。
「A級戦犯」七名については、最後の監視が厳しく、遺書等ーを直接受け取れなかったためである。
遺言状本体については、講和条約が発効して日本が独立を回復した直後、花山に対し、米軍から「占領政策により、一切焼却した」との返答があった。
この遺言は、東京裁判や自己の戦争責任についての考え方、また、日本と将来の世界について思いを述べたもので、家族に宛てるような私的なものではなく、いわば公的なものと言えるだろう。
要点を抜粋してみる。
一、開戦当初の責任者として敗戦のあとをみると、実に断腸の思いがする。
今回の刑死は個人的には慰めらられているが、国内的責任は死をもって贖えるものではない。しかし、国際的裁判に対しては無罪を主張する。たまたま力の前に屈したものである。
国内的責任について、満足して刑死につく。
一、東亜の民族は、他民族と同様にこの天地に生きる権利を持っている。その有色であることを、神の恵みとし誇りとしている。
インドの判事(注 全員を無罪としたパル判事)には尊敬の念を感じている。これをもって東亜民族の誇りと感じた。
私は今回の戦争を通じて、東亜民族の生存に対する権利の主張を達したものと思っている。
一、米国に対し、今後人心を離れしめざることと、赤化せしめざることを頼む。極東の大勢はまさに赤化の中にある。
終戦三年にしてすでに然り。今後の変転を憂う(注 当時、中国共産党は国民党を駆逐し、中国全土を制圧しつつあった)。
米英側指導者は、今次大戦で大きな失敗を犯した。
第一は、日本という赤化の防壁を破棄し去ったことである。
第二は、満州を赤化の根拠地にしてしまったこと。
第三は、朝鮮を二分して東亜紛争の因たらしめたことである。
一、日本軍人の一部間違った行為については衷心謝罪する。
しかしながら、無差別爆撃や原子爆弾の投下による悲惨な結果については、米軍側においても大いに悔悟あるべきである。
一、最後に軍事問題について一言する。
我が国従来の統帥権独立の思想は間違っていた。あれでは陸海軍一本の行動はとれない。