* Nguyen Anh Nhanくんは彼が買ったソニーのデジタルカメラが偽物であることを知った時、とても悔しい思いをした。「僕らには本物と偽物を見分ける手立てが無い」と憤懣やるかたない彼は製造メーカーやマスコミは消費者救済の為 偽物に対する啓蒙活動をすべきだと訴えた。Nhanくんひとりが被害者ではない!偽物は飲食品・医薬品・家電品・健康美容機器にまで及んでいると、南部消費者救済組合のNguyen Nam Vinh理事長は警告する。組合に報告があった中で偽物を掴まされたものが圧倒的で、事実5年前は27%であったものが現在では40%にも被害が及んでいるという。その中でもテレビ・冷蔵庫・PC・CD・エアコンなどが群を抜いている。
ソニーベトナム駐在事務所のVu Quoc Tuan所長に因れば、品質保証書がなく脱税によりこの国に流れ込むソニーを騙る偽物に対応するために努力しているが、それらは一向に減る様子を見せないと嘆く。これを見過ごせば、国家にとっても正規ライセンスを取得している販売店にとっても 強いては消費者の皆さまにとって大きな損失に繋がることでしょうという。偽物業者はソニーの本物の品質証明書を巧妙にコピーし偽物製品につけるのです。この問題に対処するためにソニーベトナムではカタログをベトナム語に書き換え、消費者に対し頻繁にプロモーションを掛けるようにしている。これに加え、正規販売店に対し本物と偽物の見分け方などを伝授しているとのこと。
大手家電量販店のNguyen Kimサイゴンショッピングセンター積極的に偽物の追放に取り組む小売店のひとつで、製造メーカー・消費者 それに販売員と協力し偽物の流入を防いでいると同社代表Nguyen Van Kim氏は語る。多くの地元消費者は被害を防ぐ為に国内で正規に生産された製品を購入するようになってきているそうだ。ベトナム政府は国民に国産品購入を呼び掛けると同時に輸入品は極力手控えるように訴えているのだが、これだけでは不十分で政府は法律の見直しを計り、消費者を偽物被害より防ぐ施策をとらなければいけないと同氏は結んだ。
(辛口寸評)
ベトナムは偽物王国であり、至るところで偽物が堂々と販売されている。政府もWTO加盟を控え取締に力を入れているものの、余りにも精巧なので真贋の判定が一瞥だけでは見分け出来ず、結果的に野放し状態なのだ。例えば、サイゴン中心部にある国営百貨店 少し前まで、海賊版DVDやCDが販売されていたが、最近撤去された。いくら何でも国が経営する国営デパートで違法商品が並べてあるのは拙いとの判断だろうが、政府の取り組みが垣間見て取れる流れだ。
先に“真贋判定”が難しいと書いたが、余程の知識がなければ いやそれ以上に家電品なら中を開けないことには容易に見分けがつかない。実は筆者もつい最近ここの電気店で購入したスマートメディアが偽物だったことが判明したばかりなのだ。問題のそれは東芝製の1GBで、どこから見ても疑いの余地がないパッケージ それに製品 価格は1mドン(約US63$) 日本で買うことと比べれば3割程度安いがこれはきっと近隣にある東芝の海外工場で生産されたものだからだろうくらいに考え購入したのだった。
ところが実際 スマートメディアをデジカメに装着し使用してみると夜間時の撮影でシャッターが切れないことが良くあり、おまけに撮影枚数がやけに少ない。128MB程度しか記録できないのだ。おかしいと気づいた時には既に購入から一月以上が経過していたし、購入時のレシートもどこかに紛失してしまっていたので、沙汰止みにするしかなかったが、後日 家電品に詳しい知人に件のスマートメディアを見て貰うと韓国製の128MBであることが判明した。いずれにしてもここベトナムで家電品を購入する際は最低限レソートと包装されていたパッケージを捨ててしまわず取っておくことが大切だろう。