花窟神社
花窟神社 所在地 位置 主祭神神体創建 例祭 主な神事
![]() 鳥居 | |
三重県熊野市有馬町上地130番地 | |
![]() 東経136度5分36秒 | |
伊弉冉尊、軻遇突智尊 | |
磐座 | |
不詳 | |
2月2日(春季) 10月2日(秋季) | |
御縄掛け神事 |
概要
『日本書紀』(神代巻上)一書には、伊弉冉尊は軻遇突智(火の神)の出産時に陰部を焼かれて死に、「紀伊国の熊野の有馬村」に埋葬され、以来近隣の住人たちは、季節の花を供えて伊弉冉尊を祭ったと記されている。当社では、それが当地であると伝え、社名も「花を供えて祀った岩屋」ということによるものである[2]。
神体である巨岩の麓にある「ほと穴」と呼ばれる[3]高さ6メートル、幅2.5メートル、深さ50センチメートルほどの[4]大きな窪みがある岩陰が伊弉冉尊の葬地であるとされ[3]、白石を敷き詰めて玉垣で囲んだ拝所が設けられている[4]。一説には、伊弉冉尊を葬った地はおよそ西1.3キロメートル先にある産田神社(うぶたじんじゃ)であり、当社はこの火の神である軻遇突智の御陵であるともいう。花窟神社では、伊弉冉尊の拝所の対面にある高さ18メートルの巨岩が、軻遇突智の墓所とされている[5]。
今日に至るまで社殿はなく、熊野灘に面した高さ約45メートルの巨岩である磐座(いわくら)が神体である[2]。この巨岩は「陰石」であり、和歌山県新宮市の神倉神社の神体であるゴトビキ岩は「陽石」であるとして、一対をなすともいわれ[3][4]、ともに熊野における自然信仰(巨岩信仰・磐座信仰)の姿を今日に伝えている。
例大祭
- 御縄掛け神事 - 2月2日(春季大祭)、10月2日(秋季大祭)。県指定無形民俗文化財[4]。
- 特別な田で作られたもち米の藁縄7本を束ねた長さおよそ170メートルの大綱に[3]、季節の花(2月はツバキを入れ、10月はケイトウを入れる[3])を結びつけた3つの縄幡および扇を吊して、磐座の頂上(ウバメガシに結ばれる[3])から七里御浜の海岸へと大綱が引かれ、境内の南隅にある柱(かつてはマツの神木)の先端へと引き渡される。その大綱の先端は地面の支柱に結びつけられる。大綱として束ねられる7本の細い藁縄は、伊弉冉尊の子で自然神である級長戸辺命(しなとべのみこと、風の神)、少童命(わたつみのみこと、海の神)、句句迺馳(くくのち、木の神)、草野姫(かやのひめ、草の神)、軻遇突智尊(火の神)、埴安神(はにやすのかみ、土の神)、罔象女(みつなのめ、水の神)を意味する[6]。
- また3つの縄幡は、三流の幡(みながれのはた)と呼ばれ[6]、岩側より、伊弉冉尊の黄泉の穢れをはらった際に生まれた三神、天照大神(あまてらすおおみかみ、太陽神)、月読尊(つくよみのみこと、月神)、素戔嗚尊(すさのおのみこと、暗黒神)を表している[3]。この3つの縄幡は、朝廷より毎年奉献されていた「錦の幡」が運ばれるとき、舟が熊野川の増水により転覆したため、変わり「縄の幡」が作られたものであるといわれる[3][4]。綱は掛け替えることなく自然に切れるまで残されるため、新たな綱と2本見られることもあり、縁起がよいものとされる[3]。
指定文化財
国指定文化財
- 記念物(史跡)
- 熊野参詣道 花の窟 - 2002年(平成14年)12月19日指定[7]。
県指定文化財
- 花の窟のお綱かけ神事 - 1969年(昭和44年)3月28日指定[7]。
市指定文化財
- 民俗文化財(有形民俗文化財)
- 花の窟神社の版木 - 1999年(平成11年)1月28日指定[7]。
- 版木原画、菱川廣隆。版木の花の窟図には、お綱掛け神事による綱が御神体に掛けられた景観が示されている[8]。
- (版画の文)[8]
- 日本書紀曰
- 伊弉冉尊生火神時被
- 灼而神退去矣故葬於
- 紀伊國熊野之有馬村
- 焉土俗祭此神之魂者
- 花時亦以花祭又用鼓
- 吹幡旗歌舞而祭矣
- (日本書紀に曰く 伊奘冉尊が火の神を生む時 灼かれて神退去りましぬ 故 紀伊國熊野の有馬村に葬る 土俗(くにびと)此の神の魂を祭る者は 花の時に花を以て祭り 又 鼓(つづみ)吹(ふえ)幡旗(はた)を用いて歌い舞いて祭る)
- 花の岩屋の御祭はしも二月 十月の
- 二日の日 縄をもて旗をつくり千尋
- のみしめな ゆひそえ いかめしき巖
- の上より濱松のこずゑに引延ばし神
- 主をはじめ縣の奴祢男女等種々
- の花横山の如く備え奉れるなむ 神代
- よりの風俗にはありける 是れより
- 十丁ばかり西の方に産田の社とて
- 二神の鎮り座す社あり すべては此
- 地のさま 万の書にみえたればもらしける
- (裏面)[8]
- 天保十五年甲辰三月成
- 筆者 若山 自寛斉
- 画工 平安 菱川廣隆
- 彫刻 若山 加市堂
- 各画料 金百匹
- 彫刻料 銀壱枚
- 樛屋蔵版
- 花の窟の湯立釜 - 1999年(平成11年)1月28日指定[7]。
- 記念物(天然記念物)
- 花の窟神社社叢 - 1964年(昭和39年)4月28日指定[7]。
短歌
- 「紀の国や花の窟にひく縄の ながき世絶えぬ里の神わざ」 本居宣長[2]
- 「紀の国や有馬の村にます神に 手向る花は散らじとそ思ふ」 徳大寺公能[2](大炊御門右大臣[4])
- 「三熊野の御浜によする夕浪は 花のいはやのこれ白木綿(しらゆう)」 西行[2]
- 「神まつる花の時にやなりぬらん 有馬の村にかかるしらゆふ」 光俊朝臣[2][4]
- 「春風に木すゑさきゆく紀の国や ありまのむらにかみまつりせよ」 よみ人しらず[2]
交通
![](http://www.hananoiwaya.jp/images/top7.jpg)
花窟神社と熊野
花窟神社がある熊野市は、三重県南部に位置し、北西部は標高500メートルを超える山々が連なり、奈良県および尾鷲市に接しています。
東南部は熊野灘に面して変化に富んだ景観に恵まれ、南西部は和歌山県、奈良県と接しています。平成16年7月7日に熊野市の歴史文化遺産である松本峠や大吹峠などの熊野古道が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されました。熊野古道とは、三重、奈良、和歌山の三県にまたがり、伊勢や大阪・京都と紀伊半島南部にある熊野の地とを結ぶ道です。古くは「くまのみち」、「熊野街道」とも呼ばれ、「熊野参詣道」として国の史跡に指定されています。
「紀伊山地の霊場と参詣道」は、古代以来、自然崇拝に根ざした神道、中国から伝来し我が国で独自の展開を見せた仏教、その両者が結びついた修験道など多様な信仰の形態を育んだ神仏の霊場であり、熊野信仰の中心地である「熊野三山」、修験道の拠点である「吉野・大峯」、真言密教の根本道場である「高野山」の3つの霊場と、これらを結ぶ「熊野参詣道(熊野古道)」・「大峯奥駈道」・「高野山町石道」からなっており、三重県・奈良県・和歌山県の合計29市町村にわたる広範囲にわたっている遺産は日本で唯一、世界でも比類のない資産として価値が高いといわれております。
![熊野市内地図と熊野古道](http://www.hananoiwaya.jp/images/accessmap.jpg)
花窟神社周辺のご案内
熊野酸性岩が隆起や海面の上昇・下降に伴う海蝕・風蝕によって形成された奇岩が並ぶ場所である。毎年8月に行われる、熊野大花火大会の「鬼ケ城大仕掛け」でも有名。
(三重県熊野市木本町)獅子巖は熊野酸性岩の風蝕洞で、南側から見ると獅子の頭部に似た景観をみせる。
高さ25mの奇岩。国の名勝・天然記念物。
(熊野市井戸町 JR熊野市駅から徒歩7分)熊野市から鵜殿村に至る約22Km続く日本で一番長い砂礫海岸。これまでに「日本の渚百選」や「21世紀に残したい自然百選」などにも選ばれた景勝地。
(三重県熊野市・御浜町・紀宝町)- 神社の名は伊弉冊尊がこの地で軻遇突智神を生んだとの伝説からつけられたといわれている。
(三重県熊野市有馬町1814 JR熊野市駅から車で5分)
花窟神社所在地
- 鎮座地
- 〒519-4325 三重県熊野市有馬町上地130
- 駐車場
- あり(茶屋 花の岩屋横 )20台 無料
花窟神社までの交通機関
![花の窟神社までの交通案内図](http://www.hananoiwaya.jp/images/traffic.gif)
![名古屋からのアクセス](http://www.hananoiwaya.jp/images/nagoya.gif)
車でお越しの場合
- 名古屋ICから
- 東名阪~伊勢自動車道(勢和多気IC経由~大宮大台I.C)⇒国道42号線にて熊野市まで約3時間(約200km)
電車でお越しの場合
- 名古屋駅から
- JR紀勢本線 特急「ワイドビュー南紀号」で熊野市駅まで約2時間50分
- JR松阪駅から
- JR紀勢本線特急ワイドビュー南紀で熊野市駅まで約1時間50分
- 熊野市駅から
- 三重交通バス 「熊野市駅前」停⇒「花の窟」停まで約5分
バスでお越しの場合
- 名古屋駅から
- 名鉄バスセンターのりばより三重交通バスにて「熊野市駅前」停まで約4時間
![大阪からのアクセス](http://www.hananoiwaya.jp/images/osaka.gif)
車でお越しの場合
- 大阪から
- 西名阪自動車道(郡山IC)~橿原~国道169号~国道42号経由~熊野市まで約3時間30分(約180km)
- 白浜から
- 国道311号~168号経由- 新宮市街地から国道42号を北上(約130km)
電車でお越しの場合
- JR新大阪駅から
- 特急「スーパーくろしお号」で新宮駅まで約3時間50分
- 近鉄 上本町から
- 近鉄阪伊乙特急で松阪まで1時間28分⇒JR特急南紀で熊野市駅まで約1時間49分
- JR天王寺駅から
- きのくに線特急オーシャンアローで新宮駅まで約3時間20分
- JR京都駅から
- きのくに線特急オーシャンアローで新宮駅まで約4時間10分
- JR新宮駅から
- 普通列車で熊野市駅まで30分
- JR熊野駅から
- 三重交通バス 「熊野市駅前」停⇒「花の窟」停まで約5分
hananoiwaya.com/hananoiwaya/iwaya_index.html - キャッシュ
神々が眠る日本最古の地・花の窟 花の窟は、神々の母である伊弉冊尊(イザナミ ノミコト)が火神・軻遇突智尊(カグツチノミコト)を産み、灼かれて亡くなった後に葬られた 御陵です。平成16年7月に花の窟を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録 され ...
hananoiwaya.com/ - キャッシュ
花の窟活性化地域協議会公式サイト。イザナミノミコトの御陵。世界遺産・熊野古道・ 紀伊山地の霊場と参詣道。御縄掛け神事。(三重県熊野市)