http://www.sankei.com/west/news/151108/wst1511080003-n1.html
韓国・ソウルで行われた日本、中国、韓国による首脳会談では、日本を牽制(けんせい)するために歴史問題で共闘するのではないかという中韓両国の姿勢に注目が集まった。しかし、そんな中韓両国の間にも簡単には抜けそうにもないトゲが刺さっているようだ。その一つが、東シナ海における排他的経済水域(EEZ)の境界線画定問題だ。中韓両国はこれまでも境界線画定交渉を行ってきたが、双方の主張は対立したままで、成果は挙がっていない。
「欠落」した発表
朝鮮日報日本語版(電子版)によると、中国外務省の発表では10月31日の中韓首脳会談で、中国の李克強首相がEEZの境界線を画定するための会談を早期に開くように求め、中国側メディアはこのことを盛んに伝えたが、韓国側の発表にはその部分が欠落していたという。
中韓両国のEEZの境界線画定問題は、済州島の南にある離於島(イオド、中国名・蘇岩礁)をめぐる問題に起因する。韓国は中韓両国のEEZが重なる部分の中間線を境界線とすべきだとしている。しかし、中国は離於島は国際法上、島ではなく岩礁であると主張。国連海洋法条約では島であればEEZを設定できるが、岩礁の場合はできない。
東シナ海“全域”の独占狙う
もともと大陸棚延長論を唱え、東シナ海ほぼ全域の海洋権益を独占しようとしていた中国は離於島周辺の管轄権も自らにあると主張し、韓国側と対立していた。
中韓両国は1996年から2008年まで14回にわたってEEZの境界線画定交渉を続けてきたが、お互いの主張は平行線のままで中断している。昨年7月の首脳会談でも今年中に協議を再開することで合意していたが、10月31日に開かれた李首相と朴大統領との首脳会談に関する発表内容の違いに双方の対立の根深さがうかがえるともいえる。
韓国のKBSによると、近く高官級会談が開かれて協議が再開される見通しだというが、過去の経緯をみると、そう簡単に着地点が見いだされそうにない。