隠岐の島 2015 その①
牛突きを見ました。
隠岐の牛突きとは。
1221年、承久の変で、隠岐へ流刑になられた後鳥羽上皇を慰める為に始められたのが起源とされ、約780年の伝統を誇っています。
勝敗をにぎる綱取り男の厳しいかけ声に、鋭く削った角で突き合い、巨体(800kg~1000kg)をぶつけ合い血を流しながらの勝負が、数十分から時には1時間にも及びます。
そのスリルと興奮は一方の牛が悲鳴をあげて逃げ出した瞬間頂点に達します。勝った牛のまわりには人々が我先にと駆け寄り、争ってその背に飛び乗ろうとします。隠岐の島では、本場所・大会の<勝負>に負けた牛は、2度と土俵に上がることはできません。
観光牛突きでは勝負のつく前に引き分けますが、ちょっとしたタイミングで引き離す前に勝負がついてしまう場合があります。
迫力のある<勝負>をご観覧ご希望の方は、ぜひ本場所または、各大会の開催日にお越しください。
案内より。
ここまで800年近く続いてきた伝統行事をしっかりと見たいなと思いました。
5月4日は春場所が開催されていました。ゴールデンウィーク中ということもあってか、とてもたくさんのお客さんがモーモードームに詰めかけていました。
取り組表があります。
土俵入りも行われました。
牛はそもそも優しい動物なので、試合前には牛の闘争本能を高ぶらせるために、お酒や生卵や、マムシを乾燥してすりおろしたもの等を食べさせて牛を高ぶらせるそうです。
隠岐の牛突きでは、1回負けてしまった牛は2度と試合に出ることが出来ないそうです。
それもあって、試合をさせてもある程度経つと、決着が付く(どちらかの牛が逃げ出してしまうこと)前に、引き離しているそうです。
大きな試合の時には、決着をつけるようです。
この日は7つの取り組みがあるようです。最後の横綱の対戦は決着をつけるとありました。
怪我をしたり、倒れてしまったりするのかな、負けてしまった牛は処分されるのかなと心配な気持ちでもありました。
引き綱を付けたまま『綱取り』役が掛け声を掛けて、牛が角を突き合わせます。
ガチっと鈍い音がし、角と角が合わさって押し合い、凄い迫力でした。
牛の目もギョロっと血走っています。
お互いに押し合って勢いがつき、私たちの目の前まで走ってきた時は思わず身をよけました。
審判役の方が声を掛けると、5~6人の方が出てきて、両方の牛を離そうと手綱を引くのですが、牛たちは中々離れず、人が振り回される程の力で圧倒されました。
そしていよいよ勝負をつける横綱戦です。900キロと1000キロの戦いでした。
牛の息遣いまで聞こえます。どちらも引かず、『25分が経過しました。』と放送があると、観客から拍手が起こります。大相撲のようだなと思いました。
30分位で、片方の牛が舌をだらりと出しました。とても苦しそうでした。
『舌を出しました。弱ってきています。』と放送がありました。
もう決着がつくのかなと見守っていますが、それでもお互い譲らず、押しあっています。
そのうちもう1頭の牛も舌を出しました。お腹で早い息をしていて、とても苦しそうです。はじめに舌を出した牛は便ももらしてしまいました。死力を尽くしているんだなと思いました。会場は静まり、皆、固唾を呑んで見ています。
私は見ていて、可哀想だなと思う反面、凄い頑張りだなと感動しました。全力でぶつかる姿に涙が出そうになりました。
私には、長年取り組んでいる目標がありますが、最近は自分の中で、少し諦めのムードになりつつありました。牛突きを見て、思いました。
『この場面を今日見ることが出来たのは何かの縁だ。私はこの牛さん位頑張っただろうか。いやまだ全力を出し切っていない。舌が出てしまって、脱糞してしまうほど死力を尽くしてから諦めよう!』と思いました。
30分を過ぎ、とうとうはじめに舌を出した方の牛が逃げて決着がつきました。
お客さんたちは、どちらの牛にも惜しみない拍手を送りました。
負けてしまった牛はどうなってしまうのだろう。大切に育ててこられた飼い主も残念だろうなと思いました。
以前は負けた牛は処分されていたそうですが、最近は闘牛が少なくなってきているので、愛媛の闘牛として売られていくそうです。
牛突きの牛さん、牛をお世話している皆さんの真剣さ、熱意、子供さんたちが楽しそうにしている様子を見て、上手く表現できませんが、『日本の伝統行事って素晴らしいな、ここには古き良き日本が残されているな。』と感動しました。
私は牛突きを見て本当に良かったなと思います。色々なことを教わりました。
隠岐の島に行かれた際には是非、伝統の牛突きをご覧頂きたいと思います。
後継者が減っているそうですが、これからも伝統の牛突きが残っていくことを願います。
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