山陰の小京都を襲った豪雨 津和野町、避難一時600人超
「これが『山津波』なのか」。28日、島根県津和野町などを襲った猛烈な雨。同町では、同日だけで350ミリ超の降水量を観測、7月ひと月分を超える降水量をわずか半日で記録した。雨は午後には小康状態になり、朝から出されていた避難勧告も夕方には解除されたが、町内の公的施設などには一時600人超が避難、静かな「山陰の小京都」を突然襲った自然の猛威に住民らは不安を募らせた。
ふだんなら、津和野川沿いに広がる城下町の美しい景観で観光客らに人気の同町だが、この日は激しい雨と氾濫しそうな川の様子に人々の表情も引きつった。
同町総務財政課の大垣隆さん(40)は同日未明、屋根や窓を激しくたたく雨の音に目が覚めた。
「これは強い」
すぐに町役場に駆けつけた。災害対応などにあたりながら、外の天候を気にしていたが、その間もずっと強い雨が降り続き、「怖ささえ感じた」と話す。
自宅近くを津和野川が流れる同町後田の無職、上田竜三さん(67)は、短時間の間にみるみる川の水量が増えていく川の様子を目の当たりにした。「こういう水の増え方は生まれて初めて。とても不気味に感じた」