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[転載]日向精錬所よく読め!最高裁判例:排出された産業廃棄物を工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提にその穴のわきに野積みした行為が廃棄物処理及法16条違反の罪に当たるとされた事例

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最高裁判例

事件番号  平成16(あ)1683     
事件名  廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件      
裁判年月日  平成18年2月20日      
法廷名  最高裁判所第二小法廷              
裁判種別  決定     
結果  棄却     
判例集等巻・号・頁
 刑集 第60巻2号182頁
原審裁判所名  仙台高等裁判所              
原審事件番号  平成16(う)5        
原審裁判年月日  平成16年7月6日      
判示事項
  工場から排出された産業廃棄物を同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提にその穴のわきに野積みした行為が廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たるとされた事例
     
裁判要旨
  工場から排出された産業廃棄物を,同工場敷地内に掘られた穴に投入して埋め立てることを前提に,その穴のわきに野積みした行為(判文参照)は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条違反の罪に当たる。

参照法条
  廃棄物の処理及び清掃に関する法律16条,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの)25条8号
全文


 主    文
本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人江藤洋一の上告趣意のうち,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(平成15年法律第93号による改正前のもの。以下「法」という。)25条8号,16条の規定について憲法31条違反をいう点は,規定中の「みだりに」「捨て」るという文言が所論のように不明確であるとはいえないから,前提を欠き,憲法29条違反をいう点は,原審で何ら主張,判断を経ていない事項に関する違憲の主張であり,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 なお,所論にかんがみ,廃棄物の不法投棄の罪の成否につき,職権で判断する。

 1 原判決及びその是認する第1審判決並びに記録によれば,本件の事実関係は,以下のとおりと認められる。

 (1) 被告会社は,福島県喜多方市内に工場を設けてアルミニウム再生精錬事業を行っており,被告人Aは,被告会社の常務取締役兼工場長として本件工場の業務を統括管理するものである。

 (2) 本件工場では,アルミニウム再生精錬過程から,汚泥,金属くず,鉱さい,がれき類等の産業廃棄物が排出されていたが,昭和51年ころから,被告会社社長の承認と工場長である被告人Aの指示の下に,これらの産業廃棄物のうち廃棄物処理業者に処分を引き受けてもらえないものを工場敷地内に掘られた素掘りの穴に埋め,穴が一杯になると表面を覆土し,あるいはコンクリート舗装するなどした上,新たに掘られた他の穴に同様に廃棄物を投入するということを繰り返すようになった 。
 そして,平成9年ころ,本件工場敷地内の材料処理工場の北西側に長さ約16.6m,幅約12.5m,深さ約2.7mの穴(以下「本件穴」という。)が掘られ,これに本件工場から排出される廃棄物が投入されるようになった。

 (3) 本件工場で排出された廃棄物は,その都度本件穴に投入されるのではなく,いったん本件穴のわきに積み上げられ,ある程度の量がたまったところで,ショベルローダー等により本件穴の中に押し込んで投入するという手順がとられていた。

 被告人Aや本件工場従業員らは,廃棄物を上記の積み上げてある場所に運ぶ作業自体を,「捨てる」とか「穴に捨てる」などと表現していた。そして,本件穴のわきに積み上げられた廃棄物について,これが四散したり含有されるフッ素等の物質が空中や土中に浸出したりしないように防止措置を講じ,あるいは廃棄物の種類別に分別するなどといったような管理の手は全く加えられず,山積みの状態のまま相当期間にわたり野ざらしにされていた。

 (4) このような中で,被告人Aは,被告会社の業務に関し,本件工場のアルミニウム再生精錬過程から排出された産業廃棄物である汚泥,金属くず,鉱さい,れんがくず等合計約9724kgを平成13年8月10日ころから同年11月28日ころまでの間,前後7回にわたり,同工場従業員らをして本件穴のわきに運ばせ,同所に無造作に積み上げさせた。この各行為が,廃棄物をみだりに捨てた行為として起訴されたものである。

 (5) なお,被告会社は,本件工場敷地内で産業廃棄物を埋立処分をするのに法令上必要とされる設備を設けたり,あるいは許可等を取得したことはない。

 2 以上の事実関係の下で,所論は,被告人Aを始め工場関係者は,本件汚泥等を被告会社の保有する工場敷地内に積み置いただけであり,廃棄物をみだりに捨てたものではない旨主張する。しかし,【要旨】本件各行為は,本件汚泥等を工場敷地内に設けられた本件穴に埋め立てることを前提に,そのわきに野積みしたというものであるところ,その態様,期間等に照らしても,仮置きなどとは認められず,不要物としてその管理を放棄したものというほかはないから,これを本件穴に投入し最終的には覆土するなどして埋め立てることを予定していたとしても,法16条にいう「廃棄物を捨て」る行為に当たるというべきである。

 また,産業廃棄物を野積みした本件各行為は,それが被告会社の保有する工場敷地内で行われていたとしても,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし,社会的に許容されるものと見る余地はない。したがって,本件各行為は,同条が禁止する「みだりに」廃棄物を捨てる行為として同条違反の罪に当たることは明らかであり,これと同旨の原判断は正当である。

 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 今井 功 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修 裁判官 中川了滋 裁判官 古田佑紀)


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産業廃棄物の種類と具体例

◆あらゆる事業活動に伴うもの

1 燃え殻 2 汚泥 3 廃油 4 廃酸 5 廃アルカリ 6 廃プラスチック 7 ゴムくず 8 金属くず 9 ガラスくず、
コンクリートくず
および陶磁器くず 10鉱さい 11 がれき類 12 煤塵(ばいじん)
石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物、その他焼却残さ
排水処理後および各種製造業生産工程で排出された泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥等
鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチ等
写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類等すべての酸性廃液
写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等すべてのアルカリ性廃液
合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物
生ゴム、天然ゴムくず
鉄鋼、非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等
ガラス類(板ガラス等)、製品の製造過程等で生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、陶磁器くず等
鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭、粉炭かす等
工作物の新築、改築または除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片その他これらに類する不要物
大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法に定める特定施設または産業廃棄物焼却施設において発生するばいじんであって集じん施設によって集められたもの

一般社団法人
宮崎県産業廃棄物協会
〒880-0802
宮崎市別府町3-1宮崎日赤会館2F
Tel. 0985-26-6881
Fax. 0985-31-1703


産業廃棄物処理業者に対する行政処分について

産業廃棄物処理業者に対する行政処分について

 宮崎県では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第14条の3(産業廃棄物処理業の事業停止命令)、第14条の3の2(産業廃棄物処理業の許可の取消し)及び第15条の3(産業廃棄物処理施設設置許可の取消し)の規定に基づいて行政処分を行った場合には、原則として公表します。

環境森林部循環社会推進課 
〒880-8501 宮崎県宮崎市橘通東二丁目10番1号
電話:0985-26-7081
ファクス:0985-22-9314
メールアドレス:junkansuishin@pref.miyazaki.lg.jp


国家賠償法
(昭和二十二年十月二十七日法律第百二十五号)

    国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

○2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

    道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

○2 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。


    前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。

  前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。


第四条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。


転載元: 日向ミナマタ 水・土壌汚染・防災研究会


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