海岸保全施設耐震点検マニュアル
4.2.7施設設計年次と建設年次
施設設計当初の設計手法及び建設されてかち老朽化の目安を知る上から、施設設
計年次及び建設年次に関する資料を収集する。
[解説]
施設設計年次を知ることにより設計手法等の把握ができ、また、建設年次に
関しては、建設時期から現在までの施設の老朽化の目安を得る土で重要である。
施設設計当初の設計手法及び建設されてかち老朽化の目安を知る上から、施設設
計年次及び建設年次に関する資料を収集する。
[解説]
施設設計年次を知ることにより設計手法等の把握ができ、また、建設年次に
関しては、建設時期から現在までの施設の老朽化の目安を得る土で重要である。
4.3現況調査
現況調査は、現地踏査による圏視及び簡易測量により当該施設の現況を把握する
ことを目的とし、海岸保全施設の変状度及び老朽度について調査・整理する。
[解説]
現況調査は、現地踏査による目視と簡易測量による現状把握を基本とする。
現況調査は、現地踏査による圏視及び簡易測量により当該施設の現況を把握する
ことを目的とし、海岸保全施設の変状度及び老朽度について調査・整理する。
[解説]
現況調査は、現地踏査による目視と簡易測量による現状把握を基本とする。
4.3.1現況の変状度
現況施設の変状度に関する概略調査は、簡易測量により次の事項に関する変状度について調査・整理する。
①本体部施設法線のはらみだし
②本体部及び背後部の沈下
③本体部の傾斜
④本体部及び背後部の破損
⑤本体部及び背後部の目地開き
⑥その他(天端高,背後地盤高,矢板構造では前面水深等と設計断面との比較)
現況施設の変状度に関する概略調査は、簡易測量により次の事項に関する変状度について調査・整理する。
①本体部施設法線のはらみだし
②本体部及び背後部の沈下
③本体部の傾斜
④本体部及び背後部の破損
⑤本体部及び背後部の目地開き
⑥その他(天端高,背後地盤高,矢板構造では前面水深等と設計断面との比較)
〔解説]
前項の既存基礎資料収集により得られた対象施設の構造断面に関して、現地
踏査による目視及び簡易測量(ポール、スタッフ、距離計及びカメラ等による
簡易測量)により、①から⑤の事項に着目した変状について把握する。
なお、その他に示したような、設計時の断面と異なるものがある場合もある
ので(人工的変状)、常に設計断面との比較を行い踏査することが重要である。
施設の変状により、本来の堤防及び護岸機能が損なわれる典型的変状は、以下のようと考えられる。
①本体部天端の沈下(高潮対策上の計画天端高不足)
②本体部はらみだし’(背後土砂の吸出しによる本体部倒壊及び背後地沈下に至る可能性)’
③本体部目地開き(背後土砂の吸出しによる本体部倒壊に至る可能性)
④設計時との断面の相違(耐震設計された断面でも、その後の改修,利用状況等により、断面や周辺の状況が変化しているものがあり、耐震性に問題の生じる場合もある)
4.3.2現況の劣化度
①施設の破損
②鋼材’(矢板、杭及びタイ材等)の劣化
③その他
[解説]
既存基礎資料収集により得られた対象施設の構造断面に関して、現地踏査に
よる目視により、①から③の事項に着目した劣化について把握する。
これらの劣化度により、海岸保全施設機能を損なう現象としては、施設の倒
壊(亀裂あるいはクラックに起因する強度低下)及び鋼材の腐食等による部材
耐力の低下(強度不足による本体部倒壊の可能性)等があげられる。
これらの変状・劣化は、将来、地震による被害が発生した場合に構造上の弱点となると考えられる。
①施設の破損
②鋼材’(矢板、杭及びタイ材等)の劣化
③その他
[解説]
既存基礎資料収集により得られた対象施設の構造断面に関して、現地踏査に
よる目視により、①から③の事項に着目した劣化について把握する。
これらの劣化度により、海岸保全施設機能を損なう現象としては、施設の倒
壊(亀裂あるいはクラックに起因する強度低下)及び鋼材の腐食等による部材
耐力の低下(強度不足による本体部倒壊の可能性)等があげられる。
これらの変状・劣化は、将来、地震による被害が発生した場合に構造上の弱点となると考えられる。
4.4追加土質調査
4.4.1調査位置
既存のボーリング柱状図あるいは土質定数等が不足している場合には・必要に応’
じ土質調査を追加し、不足データを補完するものとする。
4.4.1調査位置
既存のボーリング柱状図あるいは土質定数等が不足している場合には・必要に応’
じ土質調査を追加し、不足データを補完するものとする。
[解説]
耐震点検を行う場合、基礎地盤に関しては既存資料をもとに海岸保全施設下
の基礎地盤の土質構成及び各地層に対しての層厚や密度、強度等の定数を設定
する必要がある。従って、基礎地盤に関する既存資料の多い少ないは耐震点検
結果に大きな影響を及ぼすことになる。このため既存のボーリング柱状図間隔
が離れすぎていて、土質構成が把握できない場合や土質試験結果が不足してい
て所定の定数が設定できないような場合には、必要に応じてこれらのデータを
得る目的で土質調査を実施する。
耐震点検を行う場合、基礎地盤に関しては既存資料をもとに海岸保全施設下
の基礎地盤の土質構成及び各地層に対しての層厚や密度、強度等の定数を設定
する必要がある。従って、基礎地盤に関する既存資料の多い少ないは耐震点検
結果に大きな影響を及ぼすことになる。このため既存のボーリング柱状図間隔
が離れすぎていて、土質構成が把握できない場合や土質試験結果が不足してい
て所定の定数が設定できないような場合には、必要に応じてこれらのデータを
得る目的で土質調査を実施する。
点検対象区間が長い場合には、耐震点検の地盤パターン分類に用いる想定地
質断面図を作成することが望ましいが、その場合には想定地質断面図の縦断方
向の縮尺は1/10,000~1/25,000程度となるため・ボーリング間
隔は400~500m程度に1本?X上を目安とレて実施する。ただし土質構成
の変化の少ない場合もしくは堤体直下の基礎地盤が岩盤等の場合は、その限り
ではない。
なお、旧河道、埋立地のように地盤の強度が他の部分より低いことが予想さ
れるところについては、極力、ニヒ質資料の収集に努めるものとする。
調査深度としては、基礎面(工学的な地震基盤(S波速度(Vs)で
300m/s以上の地層))を確認できる深度まで実施することを標準として
いるが、軟弱層厚が厚い場合には、最低でも地盤種別の判定が行える25m程
度を目安として実施することが望ましい。
4.4.2調査方法の選定
土質調査は、現地条件や経済性を考慮して、合理的な方法を選定する。
[解説]
土質構成やその強度を把握するため、ボーリング及び標準貫入試験等の原位
置試験を行う。また、適宜、サンプリング(試料採取)を行い・室内試験を行
うものとする。室内試験としては、密度、粒度分布等を得る物理試験や・C・
φ等を得る一軸、三軸圧縮試験等の力学的試験を行う。
さらに、地盤の動的変形特性や動的強度特性を求めるために・必要に応じて
動的力学試験(動的変形特性試験、液状化試験)を行うことがあるが・実施に
当っては、経済性等を十分に考慮して、適宜調査方法を組み合わせて用いるものとする。
土質調査は、現地条件や経済性を考慮して、合理的な方法を選定する。
[解説]
土質構成やその強度を把握するため、ボーリング及び標準貫入試験等の原位
置試験を行う。また、適宜、サンプリング(試料採取)を行い・室内試験を行
うものとする。室内試験としては、密度、粒度分布等を得る物理試験や・C・
φ等を得る一軸、三軸圧縮試験等の力学的試験を行う。
さらに、地盤の動的変形特性や動的強度特性を求めるために・必要に応じて
動的力学試験(動的変形特性試験、液状化試験)を行うことがあるが・実施に
当っては、経済性等を十分に考慮して、適宜調査方法を組み合わせて用いるものとする。
〔解説]
本マニュアルは・地震に対する海岸保全施設の耐震点検(被害程度の想定)の簡便か
っ合理的で統一的な方法を示したものである。’海岸保全施設の耐震対策における耐震点
検の位置付けは図一解2.1.1に示した。
耐震点検の各項目の内容は次のとおりである。
本マニュアルは・地震に対する海岸保全施設の耐震点検(被害程度の想定)の簡便か
っ合理的で統一的な方法を示したものである。’海岸保全施設の耐震対策における耐震点
検の位置付けは図一解2.1.1に示した。
耐震点検の各項目の内容は次のとおりである。
(1)「基礎データの収集整理」および「追加調査」
耐震点検に必要なデータを設定するために、関係する資料の収集と整理を行
う。なお、基礎データが不足している場合には、・必要に応じて追加調査を実施する。
(2)「地震力の設定」一
耐震点検に用いる慣性力用震度および液状化判定用震度を、地域等を考慮して設定する。
(3)「耐震点検」
海岸保全施設のうち、土堰堤が主体となるものの耐震点検を実施し、被害の有無と程度を想定する。
(4)「二次災害の想定」および「詳細調査が必要な区間の抽出j
耐震点検によって想定した被害の程度と、二次災害要因(津波、波浪、潮位等)、背後地の高さを考慮して二次災害の発生の可能性を想定し、背後地の土地利用状況から重要度を設定して、詳細調査の必要な区間を抽出する。
耐震点検によって想定した被害の程度と、二次災害要因(津波、波浪、潮位等)、背後地の高さを考慮して二次災害の発生の可能性を想定し、背後地の土地利用状況から重要度を設定して、詳細調査の必要な区間を抽出する。
2.1.2耐震点検の手順
被害想定は、次の手順で行うものとするも
①堤内側、堤外側の静的安全率(Fso)を求める。
②静的安全率とともに、堤内側・堤外側の慣性力用水平震度のみを考慮した場合の安全率及び過剰間隙水圧のみを考慮した場合の安全率を求める。
③堤内側・堤外側の地震時安全率を求める。
④地震時安全率とともに、被害の有無、被害形態・被害程度を想定する。
被害想定は、次の手順で行うものとするも
①堤内側、堤外側の静的安全率(Fso)を求める。
②静的安全率とともに、堤内側・堤外側の慣性力用水平震度のみを考慮した場合の安全率及び過剰間隙水圧のみを考慮した場合の安全率を求める。
③堤内側・堤外側の地震時安全率を求める。
④地震時安全率とともに、被害の有無、被害形態・被害程度を想定する。
[解説]
海岸堤防は一般に延長が長いことから、地震時安定性を詳細に検討することは合理的ではない。また、現在のところ被災後の堤防形態や堤防の沈下量を簡便に算出する方法は確立されていない。このため本マニュアル案では、被害に係わる基本的な定数を用いて地震時の被害想定を行える本方式を用いるものとした。
この方式は図一解2.1.2に示すように、堤体形状、堤体材料、基礎地盤土質、さらには地震力をもとに円弧すべりを仮定した地震時安全率を求め、その安全率から被害の有無、形態・程度を想定するものである。
海岸堤防の地震時安定性は、円弧すべりでは必ずしも説明できるものではないが、円
弧すべり計算で得られる安全率は、過去の地震による被害事例に対して適用してみて被
害の有無を評価するための指標となり得ると判断できたことから、円’弧すべりを仮定し
た安全率で評価している。また、被害形態、被害程度の想定は過去の被害事例をもとに
地震時安全率と被害形態、被害程度の関係を求めて想定したものである。
なお、地震時安全率の算出にあたっては、慣性力と地震時に発生する過剰間隙水圧は
同時に考慮しないものとする。これは、堤体に慣性力として加わる外力と、過剰間隙水
圧上昇に伴う地盤強度の低下の生じる時間的ずれを考えると、同時に考慮することは、地
震時安全率の評価が低すぎることになるためである。
なお、この手法を作成するために行った安定計算のモデルは、平均勾配1~4割、堤高
1~11mなので、この範囲外の断面に適用する場合には注意を要する。
2.2基礎データの収集・整理
2.2.1堤体・基礎地盤関係の資料
海岸保全施設関係資料及び基礎地盤関係資料としては、以下の資料を収集するものとする。
①堤体関係資料:定期縦横断測量図,開削調査資料他
②基礎地盤関係資料:ポーリング柱状図,土質試験結果資料他
2.2.1堤体・基礎地盤関係の資料
海岸保全施設関係資料及び基礎地盤関係資料としては、以下の資料を収集するものとする。
①堤体関係資料:定期縦横断測量図,開削調査資料他
②基礎地盤関係資料:ポーリング柱状図,土質試験結果資料他
〔解説]
①海岸保全施設のうち土堰堤が主体となる施設では、耐震点検手法に適用する堤体形状
は、横断測量図から設定するものとする。また、堤体材料や堤体の土質定数を把握する
ためには土質調査資料や築堤履歴資料あるいは開削調査資料等が有効である。
①海岸保全施設のうち土堰堤が主体となる施設では、耐震点検手法に適用する堤体形状
は、横断測量図から設定するものとする。また、堤体材料や堤体の土質定数を把握する
ためには土質調査資料や築堤履歴資料あるいは開削調査資料等が有効である。
②海岸保全施設下の基礎地盤の土質構成及び分布する各地層の強度定数を求めるたあに
はボーリング柱状図や土質試験結果を収集する必要がある。資料の収集にあたっては、
施設下だけではなく、同一の地質構成と判断される施設周辺の資料についても収集する。
なお、耐震点検に必要な情報は、表一解2.2.1に示す通りである。
さらに、過去における遮水矢板や地盤改良等の施工が被災の程度に影響することから、
このような施工に関する資料を収集する必要がある。
2.2.2基礎地盤の地層構成の整理
堤体関係資料,基礎地盤関係資料等をもとに、耐震点検区間について・海岸保全施設下の
土質構成を把握する。’
[解説]
耐震点検を実施する上で、海岸保全施設下の土質構成と各地層の層厚を把握すること
が最低限必要となる。このため、耐震点検区間の既存ボーリング調査結果を整理するも
のとする。また、耐震点検区間が連続的に長くなる場合には、点検区間の土質構成を面
的に把握することが点検結果の精度を高めることとなるため、海岸保全施設縦断方向の
想定地質断面図を作成することが望ましい。
堤体関係資料,基礎地盤関係資料等をもとに、耐震点検区間について・海岸保全施設下の
土質構成を把握する。’
[解説]
耐震点検を実施する上で、海岸保全施設下の土質構成と各地層の層厚を把握すること
が最低限必要となる。このため、耐震点検区間の既存ボーリング調査結果を整理するも
のとする。また、耐震点検区間が連続的に長くなる場合には、点検区間の土質構成を面
的に把握することが点検結果の精度を高めることとなるため、海岸保全施設縦断方向の
想定地質断面図を作成することが望ましい。
この場合には、樋管・樋門・橋梁等の既存
ボ_リングを利用する他、治水地形分類図等も活用し地形条件も十分に考慮して作成す
るものとする。なお、想定地質断面図の縮尺は、海岸保全施設縦断方向を1/10・000~
1/25,000、深さ方向を1/200~1/500程度が望ましい。また・作成された想定地質
断面図を基に土質構成や層厚の変化を考慮し、地盤のパターン分けができる場合は、点
検区間の地盤をパターン別に区分する。
ボ_リングを利用する他、治水地形分類図等も活用し地形条件も十分に考慮して作成す
るものとする。なお、想定地質断面図の縮尺は、海岸保全施設縦断方向を1/10・000~
1/25,000、深さ方向を1/200~1/500程度が望ましい。また・作成された想定地質
断面図を基に土質構成や層厚の変化を考慮し、地盤のパターン分けができる場合は、点
検区間の地盤をパターン別に区分する。
2.2.3土質定数の整理
堤体及び基礎地盤の土質定数については、堤体・基礎地盤関係資料をもとに、次の項目に
ついて整理する。
①堤体(土質、単位体積重量)’
②基礎地盤(土質構成、単位体積重量、N値、平均粒径、細粒分含有率、強度定数)
堤体及び基礎地盤の土質定数については、堤体・基礎地盤関係資料をもとに、次の項目に
ついて整理する。
①堤体(土質、単位体積重量)’
②基礎地盤(土質構成、単位体積重量、N値、平均粒径、細粒分含有率、強度定数)
[解説]
耐震点検区間を対象に収集した堤体・基礎地盤関係資料のボーリング調査結果及び土
質試験結果に基づき、分布する土質に対して以下の定数を設定する。また・地盤のパター
ン分けができる時は、パターン毎に以下の定数を設定する。
①堤体
・土質(砂質土と粘性土の区分)
・単位体積重量(γb)
②基礎地盤
耐震点検区間を対象に収集した堤体・基礎地盤関係資料のボーリング調査結果及び土
質試験結果に基づき、分布する土質に対して以下の定数を設定する。また・地盤のパター
ン分けができる時は、パターン毎に以下の定数を設定する。
①堤体
・土質(砂質土と粘性土の区分)
・単位体積重量(γb)
②基礎地盤
2.10詳細調査の必要な区間の抽出
2.10.1概説
詳細検討を必要とする区間は、耐震点検結果、二次被害の想定結果等および背後地の重要度を踏
まえ、抽出するものとする。
[解説]
耐震点検により海岸保全施設のうち土堰堤を主体とする施設の被害程度が想定される
が、これは延長のある施設について合理的かつ簡便な手法により施設そのものの直接的
な被害を推定したものである。しかし、施設は堤体の変形によりその機能が即、消失す
るものではない。
2.10.1概説
詳細検討を必要とする区間は、耐震点検結果、二次被害の想定結果等および背後地の重要度を踏
まえ、抽出するものとする。
[解説]
耐震点検により海岸保全施設のうち土堰堤を主体とする施設の被害程度が想定される
が、これは延長のある施設について合理的かつ簡便な手法により施設そのものの直接的
な被害を推定したものである。しかし、施設は堤体の変形によりその機能が即、消失す
るものではない。
2.10.2二次被害の想定
二次被害の想定は、要因、背後地の高さ、背後地の利用状況等により次の項目について考慮する
ものとする。
①海岸保全施設背後地の浸水被害
②海岸保全施設周辺施設の被害(環境汚染を含む)
二次被害の想定は、要因、背後地の高さ、背後地の利用状況等により次の項目について考慮する
ものとする。
①海岸保全施設背後地の浸水被害
②海岸保全施設周辺施設の被害(環境汚染を含む)